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プロフィール
旅とハイキングと手作りを歓びとするネイチャーウォーカー。カナダで雄大なロッキーの風景に出会い、自然の心地よさに目覚めてからというもの、国内外へハイキング逃亡を繰り返す。今年も合い言葉は『目指せロッキー!』
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2006年 09月 25日
![]() コンポンチャムという小さな町を訪れた。 陽が傾きはじめると夕涼みを兼ねて 散歩したり、おしゃべりを楽しむ人たちの姿で 川沿いがにぎわい始める。 一日のなかで、もっとも穏やかなとき。 メコンの流れのように、ゆったりとした時の流れ。 その大河に架かるひときわ立派なキズナ橋も この時、夕日に照らされいっそう立派に輝いて見えた。 何を隠そう、これは日本の無償援助により建造されたもの。 キズナとは日本語の「絆」のことで 日本とカンボジア両国間の絆を意味しているのだ。 そのため、この町に滞在中は 私がただ日本人だというだけで 「橋をありがとう!」と道ゆく人に笑顔で感謝されまくってしまった。 私は単なる旅行者で そんな橋の存在などその時までまったく知らなかったのに…… それは、なんだかこっ恥ずかしいほどだった。 心から「どういたしまして」と言えるようなことを 実は何もしていない私。 なんだか情けないな~、と思いながらも それでも、ありがとうと言われて、悪い気はしない。 でもそこには、他人の土俵で相撲をとる、みたいなズルさがあった。 けれどその後で、 バイクタクシーの運転手が何気なく言った言葉に 私は一瞬混乱し 申しわけなさと、怒りと、恥ずかしさで 頭のなかがごちゃごちゃになった。 その言葉とは 感謝されることとは対極の、非難に満ちたものだった。 「年配の男性旅行者を乗せた後、いつも彼らに同じことを訊かれるんだ……」。 同じこと? それが売春斡旋を意味することを知って、愕然とした。 エイズが社会問題になっているカンボジアでは 今、国をあげてその危機的状況をくい止めようと四苦八苦している。 その影で、「同じこと」を訊ねる外国人ツーリストは後をたたず、 貧困に苦しみ、わずかなお金のために身売りしてしまう少女たちは増える一方だという。 需要と供給のバランスが、こんなところでも成立してるなんて…… “子どもとのセックスは犯罪です!” そんな衝撃的すぎる英語のキャッチコピーが掲載された 現地の旅行者向けフリーペーパーをペラペラとめくりながら思い浮かぶのは 「橋をありがとう!」と手をあわせてくれた人たちや 道端で出会った、たくさんの子どもたちのまぶしい笑顔。 長い混乱の時代を経て 今歩みだそうとしているカンボジア。 彼らの未来が、旅行者のモラルなき愚行によって 崩されるなんてことがあってはならない。 需要がなければ供給もされない。
by rockey-tommy
| 2006-09-25 12:15
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